名詞にやさしい世界

インターネットというのは、基本的に名詞(特に固有名詞)との親和性が高い。端的に言えばGoogleだって名詞で検索することが多い。「歩くということの本質って何?」、と疑問に思ったときネットを活用することはもちろんできるけれど、「デューク更家のウォーキングエクササイズ」(最近どうなのかな・・) について調べる方がずっとラク。

安西徹雄の「英語の発想」(ちくま学芸文庫)を読む。

英語は、ある状況や出来事を言語化するとき、論理的に分析してひとつのアイデンティティーを有する項を抽出し<もの>として名詞化、それらの相互関係として表現する。一方日本語は、状況を分けずに丸ごとすくいとり、名詞に還元せずに<こと>的捉え方をする、とある。英語が、主語必須で、関係代名詞を糊としていくらでも長くできる名詞中心に組み立てられているのに対し、日本語はしばしば主語を省略でき、動詞を中心に組み立てた方が文が自然になることからもよくわかる。

ネットって今やなくてはならないものだけれども、やはり強烈に西欧文明の歴史的文化的基盤の上に発生しているものだから、日本人の言葉の使い方や考え方ともともとはしっくりくるものではなかったかもしれない。でもこれからは考え方自体も、きっとそっちの方向にじわじわともっていかれるんだろう。

このブログはどちらかと言えば固有名詞より一般名詞、動詞的な内容(創るとか見るとか)の記事が多い。固有名詞をたくさん織り込んだ方がアクセスは上がるが、こちらの頭の中身を変える訳にもいかないので、このままでいくことにする。

固有名詞充満の世の中にありながら、読んで頂いている皆さまに感謝します。

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