昭和のフロッタージュ

フロッタージュというのは表面が凹凸したものに紙を乗せて、鉛筆などでこすると面白い跡ができるというものだが、子供の頃定番の遊びの一つだった。
自分だけやっていたのかと思ったら昨日話した知人もしょっちゅうやったというので、昭和の子供の文化的遊びとしてそれなりの地位があったのだろう。

あと、紙にみかんの汁で字を書いてストーブであぶって浮かび上がらせたり、丸い紙にうずまき状の切れ目を入れ、中心に糸を通してやはりストーブの上にかざし、ぐるぐるまわるのを見て喜んだりもしてたっけ。

フロッタージュだが、憶測だけれど最近の子供はあまりやらないのではないかしらん。

自分がこすっていたのは、畳、縁側の木、塗り壁、ヘルスメーターの表面(滑り止めなのか、2、3ミリのくぼみがびっしり規則的についていた)などなどだったが、今の家の中ってそれほどバリエーションのあるマチエールを持った物品自体がすごく減っているから。

どちらかといえば均質な風合いの中に生きていると、その微妙な差に敏感になるというよりむしろ、ディテールというものに鈍感になっていくような気がする。

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