今日銀座の日動画廊で、宮本三郎の昭和40年代の裸婦を見た。小さい油絵だけれどたいそうよくて、たまたまお金持ちの知人と一緒だったので、「買うべきだよー」と力説してしまった。
たくさんの花が咲いている所に横たわっているたっぷりしたからだの若い女が、目をぱっちり見開いてこっちを見ている。背後にはカンヴァスの地まで見えそうな飴のように透明感のある澄んだ緑がむらむらに塗られていて、考えるとちょっとヘンなのだけれどその光が彼女の肌にもろに反射し、緑のむらむらになったからだがどっしりばっちりしているのは、生命そのものとしかいいようがない。
それから何時間もたっているのに、それにそもそもモダーンな感じで描かれた、花畑の中ではだかで横たわる女という絵に理念的には何の興味もない自分なのに、「緑色の飴」は頭の中で依然ぐるぐるまわっているのである。