鹿の声

以前さるイベントで有名な女性プロデューサーの人から、「いつ見ても鹿の感じ、バンビちゃんみたい」と言われた。なんだかうれしい。「バンビ」は私が3つか4つの頃その映画を見せに連れていったらめちゃウケしてころころ笑ったと言って、亡くなった父が後年までなつかしげに話していたし、まあバンビはオスだけどそんなことどうでもよろしい。

ふと思い出したが、どこかの動物園で鹿の檻の傍に寄っていったら中の子が突然鳴いた。そのあまりの哀愁ただよう声に感じ入ってしまったことがある。鹿って「ピーピー」と情趣深く鳴く。かぼそく繊細なニュアンスがある一方、非常によく通り、音量もある。これなら和歌にも歌われるはず。

妻恋ふる鹿のたちどを尋ぬれば さやまが裾に秋かぜぞ吹く(新古今和歌集 前中納言匡房)

妻を慕って鳴く鹿の声がしたあたりに行ってみると、(鹿はいなくて)ただ秋の風だけが吹いていたって歌ですね。

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