例によって近所を散歩していた私は向こうから歩いてきたおばさまの連れていた犬に眼が釘付けになった。茶色の剛毛、太い弾丸といった感じの体形、愛想というものを原始時代に置いてきたような非情の眼差し~すなわちカピバラのようだったのだ。更に歩いていくと今度はおじさんと行き当たり、彼と一緒にいた真っ白い犬がやたら長っぽそい耳に赤っぽい目をしてて、つまり犬だけどほぼうさぎなのであった。連続で何か別の存在に似てる犬を目撃できてトクした気分になる。
ところでカピバラ犬にしてもうさぎ犬にしても、それがカピバラやうさぎに見えるのはそれぞれの有するたかだか三つ四つの特徴を有しているからにすぎない。三つ程度の特徴がはっきりあれば、ソレはソレとして認識できるという世の真実に急に気づいた。自分や自分の創るものや生き方などが、「三つの特徴結局なに?」と問うならば、ちょっとした肝試しをやっているような気分になれる。