絵と窓

絵は、窓のようなものがいい。
そうするとそれを見る自分のまわりに、いつも新しい風が吹く。

ニコラ・ド・スタールというロシア生まれの画家に、「絵画空間とはひとつの壁だが、そこには世界中のすべての鳥が自由自在に飛んでいる、奥の奥まで。」という言葉があるのを知った。

確かに、絵は平面だがそこで視線が突き当ってしまうようなものでなく、奥のある空間である。別に3D画像やスーパーリアルでなくとも、良い絵は我々の脳がそこに空間を見出すことに、自然に導く。

小さい絵でも大きい絵でも、つながっている空間はひとつだ。それは我々の生きているこの世界である。

だから、作品の提示するスケール感は、絵の大小が本質的に決めているのではなく、絵の質が決めている。

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