ボルゲーゼ美術館展 目がきらり

都美術のボルゲーゼ美術館展に行った。展示の前半、なかなか集中できなくて、「西欧絵画ってどう見るんだっけ・・」と根本的なことを考えつつ、たらたら見ていた。

モチーフや情景の背景(聖書物語とか)あまり知らないし、出てくるのは人間中心、日本画みたいに、花鳥風月を愛でる雰囲気にも当然ならない、人間は人間でヨーロッパ人だと体型だって違う。構図、色、その他絵画的要素に純粋に目を向けようとしても今一つおもしろくない。なんだかおんなじようなうまい写実の絵が続く感じ。などと考えつつ進んでいくと、途中でだんだん集中力が出てきた。

要するに人間のからだの表現を見よう、と思ったのである。とくに脚が気になる。肌を出している人が多いが、素足の指が、土の上にふんわりと、でもしっかりおかれている。この脚に支えられている人体は、まぎれもなくほんとうのからだみたいに、絵の中で生きている。

カラヴァッジオの「洗礼者ヨハネ」圧巻。

図版でみるとカラヴァッジオは随分とエッジが立っている感じなので、そういう風に描いてるのかと思っていたら、人体の輪郭などはむしろ思ったよりやさしい。それが赤い布などの色彩的形態的なメリハリと響きあい、人体の正確な軸、重量の表現とあいまって完璧に構築された美しき世界。カラヴァッジオはラファエロみたいにあまりファンシーじゃなくて、痩せた美少年的な感じがたいそういい。

殺し文句はけだるそうでいながらヨハネの目に、きらーんとした小さい星のような光が、入れてあるところ。

ボルゲーゼに行ったよ、と友達に言うと、「え、スパゲティ?」と言われた。それはボロネーゼ。ミートソースの。

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