コンセプチュアルな上海カニ

京橋 INAXギャラリーのガレリアセラミカで、福本歩展 -フクモ陶器 晩餐会-を見てものすごくウケた。

陶芸の作品なのだがひとつだけ紹介すると、「ケーキ付きいちご皿」というものがあり、皿の上にショートケーキも一体となっていて(つまりケーキ部分も陶器)、元来苺がのっている場所が少しだけくぼんでいる。そこに実物の苺をのせると本当のケーキを前にしたときのような豪華な気分が味わえる、とか。本物は苺しかのらないので確かにケーキ付きの、「いちご皿」である。この伝でいけば豆腐付き薬味皿などもよさそう。

あたりまえと言えばあたりまえだが、コンセプチュアル・アート(と他意はないのですが、そのようにくくっていいでしょうか、福本さん・・・!)は、コンセプチュアルと言いつつ実行が要である。

先日ある中華料理店に入った際、壁に「上海カニ、入荷し ました」というA4サイズ程の紙が貼ってあり、きれいな水色の地に赤字で書いてあるので目立つことこの上なく、さらに水色の一部がなぜか不定形に濃くなっており、これが意匠的なものか、単に誤字などを訂正しようとしたものか、わからない。そして「入荷/しました」でなく「入荷し/ました」とやや不自然な場所での改行。そもそも上海カニ、でなく上海「ガ」ニ、でないのか、などと疑問満載だ。

これを50号位に拡大して細密に描いたら、結構インパクトのある現代アートだと思ったが、私はコラージュの制作で忙しいので、実際することは、できない。

だからやっぱりアートは、やらねばならない。考えているだけでは、アートにならない。単なるコンセプト。

福本歩展 -フクモ陶器 晩餐会  -(INAXギャラリー ガレリアセラミカ 12月21日まで)

 

 

同じカテゴリーの記事

  1. 鴻池朋子「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」

  2. 極北展示

  3. 王様に見せるのに・・・

  4. 宮本三郎を見る

  5. 国宝・普賢菩薩騎象像

  6. ほんとう

Blog「原初のキス」