この前大倉集古館に根来展を見にいったときに、国宝・普賢菩薩騎象像もじっくり見て楽しんだ。
いい仏像ってとても垂直性が強く、前に立っているとものすごい勢いでからだの軸が立つ。きっと仏様が生きて歩いていたとき、彼を見た人もそうだっただろう。
蓮座に座った仏様を乗せた象は口の中も丁寧に創ってあり、舌やちょっと乱杭になっている歯がすごくかわいい。ほんものの象と違っているのは、犬みたいな足と、わんたんの皮のような小さい耳、頭からお尻の方まで、からだがながっぽそいこと。大切な方を乗せているという、リラックスしたなりの責任感が現れている感じ。
外形としてはおそらく創ったときから全然狂いの出ていない木彫の像だが、色は落ちてしまったらしく、表面をよく見ると、金箔や朱のなごりみたいなものが見える。
もとはおそらく相当サイケだったはず。