濡羽

アートフェア東京。工芸的な技巧で攻めるもの、フェティッシュ性でひっぱるものあるいはその混合。一方、普段認識できていない真実の様相を提示することではっとさせる性質を持つもの、この場合、技巧やフェティッシュ性はあるとしてもより明示的でない階層に潜み、正面切ってこちらを刺激するものではなくなっていて、つまり作品は表現形態としてより表現内容に対して純化されている・・という勝手な分類の下で、多くの作品を興味深く眺める。

去年と同じ作家の前で足がとまる。今年もこれが一番おもしろく感じた。Art Statements Galleryのブースで展示されていたDale Frankというオーストラリアの作家で絵具をたらす技法を使って大画面を創っている。烏の濡羽色という古風な表現を思い出す含みのある黒とか、オーロラあるいはアマゾンの蝶みたいな光をはらんだ青、溶岩の流れを思わせる運動性が、樹脂みたいに厚い強度のあるつやつやの表面に守られて、内側ではまだだくだくと水気に満ち溢れているかのようだ。

うちに帰ってWebで画像を見てみたら現場でのおもしろさが半減。あんなにゴージャスだったつやつやの表面も、その表面をつきやぶってこちらにこぼれだしそうになっていた内側も、完全に乾いちゃってるみたい。現物がいいものってデジタルにするとよさが減衰し、現物がそうでもないとデジタルの方がいいっていう法則が、すべての場合ではないにせよ経験的にあるのだが、ここでもそれを発見した。

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