「キャリントン先生のあふれる言葉 ~アレクサンダー・テクニークを学ぶ・教える皆さんへ~」発刊

ウォルター・キャリントンは、からだの使い方を改善する伝統ある身体技法「アレクサンダー・テクニーク」の世界的な教師です。教師団体として名高い、英国のSTATの会長も務めていました。先にもご案内の通り、今般彼の講話録(原題”Thinking Aloud”)の日本初訳本を発刊しましたのでお知らせします。
Amazon の以下のサイトにて販売しております。

「キャリントン先生のあふれる言葉 ~アレクサンダー・テクニークを学ぶ・教える皆さんへ~」
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08DG2WWQ5/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i0

主にはアレクサンダー・テクニークの教師になるためのトレーニングを受けている方々に向けて、キャリントン氏が語った講話がまとめられており、テクニークの原理、教育上の課題や注意すべき点など専門的な内容が扱われています。
言うまでもなく、教師を目指す方々や教師の皆様にとって、多方面から実用的な導きとなる書籍かと存じます。

一方、人間が進化する中で置き忘れてきた、より本態的な生き方や繊細な考え方の可能性という観点からも、示唆に富む内容が数多く含まれています 。例えば彼は、からだの使い方を適切にする上で重要な、首と頭を方向づけることについてこのように語っています。

「首が自由であるのを思うと言うのは、自由かどうかを感じようとしてから自由にしようとするとか、そんなことじゃあないんです。やろうとする必要はありません。それではなんらか努力することになりますが、自由は努力からは生まれませんから。むしろ努力するから固くなるんです。首が固かったら自分で固めています。固めるのをやめれば自由になります。」

私の場合は美術ですが、音楽や演技、ヨガ、あるいは日常生活の中であれ深い関心事や課題を抱えている人々であれば、何かの実現を望み、何かが欲しくてむやみにがんばって直接それをやろう、起こそうとするとかえって結果に結びつかないという、奇妙に矛盾する経験を誰しもお持ちでいらっしゃるでしょう。たとえ教育を業としない場合でも、少しでもテクニークに触れたり、関心を持った方々は、ここに語られていることを味わい、自分の生き方や物事に対応していくやりざまを振り返ってみることで、別の光から改めてそれらを感じたり、考えたりすることが可能になるものと思います。

本書の翻訳は実名での活動ですが、振り返れば美術制作における態度や構想の多くを、個人的にはテクニークに負っていることは明らかであり、本ブログにおいてもご紹介しています。

監修はアレクサンダー・テクニークの教師でNVC(非暴力コミュニケーション)のCNVC認定トレーナーとしても活躍されている安納献さんにご協力頂きました。

販売サイトにも主な部分を記していますが、本書の目次は以下の通りです。

・上へいくためのエネルギーを生み出す
・からだ全体が長くなる
・脊椎のねじれ
・教師への助言
・ノーと言う時間を許す
・首と頭の方向づけ
・呼吸
・初回のレッスンを教える
・教師自身の使い方が大切
・倫理
・長く、広くなる
・時間をとる
・何もしないということ
・椅子の背に手を置く
・ささやき声のアー
・歩く
・最後のレッスン

アレクサンダー・テクニークに関わる多くの方に、手にとって頂けましたらありがたく思います。

ウォルター・キャリントン
「キャリントン先生のあふれる言葉 ~アレクサンダー・テクニークを学ぶ・教える皆さんへ~」
(ジェリー・ソンタグ編 鈴木優子翻訳 安納献監修 税込 3,300円)

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08DG2WWQ5/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i0

 

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