卵を塗る刷毛

刷毛(ハケ)というものは消耗品である。結果に対し悪影響を及ぼさない範囲においてコストは抑えられた方がいい。ということで100円ショップの刷毛なども試すことがあるが、大抵の場合派手に毛が抜けるので後悔する羽目になる。メーカーを変えたりしてみても全般的に言えば100円ショップの刷毛は毛が抜けに抜ける。

しかしながらある日100円ショップを徘徊していた私の目はキラっと輝いた。

そこは料理コーナーで、料理に使う刷毛を売っていた。パンを焼いたりする時生地の表面に卵黄を塗ったりしますよね、そういうような場合に使う刷毛。かなりコシのある樹脂製らしき毛が密に植わった幅5センチぐらいの平筆形状のものだ。

私の灰色の脳細胞は即座にこれの毛は絶対に抜けないことを確信した。だって料理に使うんだからそう容易に毛が抜けてはたまらない。自分の技法は特殊なので、このコシの強さを使える場面もあるだろう。家に買って帰って即座に実験。案の定、普通の100円刷毛だとワンストロークで10本ぐらい抜ける毛が、ただの一本も抜けないことを確認し、狂喜した。

・・と、いうやや世知辛い例なのだが、美術は描いているときには打ち手とその結果について、道具を買うときもその性能やコストパフォーマンスについてあれこれと推理力を使うので、脳に良かろうという話である。年齢がいっても続けられるものも多いし、色々な人がもっと活発に、美術方面のことをやったらどうかなーと自分は期待しているのである。

もっとも自分に関して言えば、脳に良いがゆえに自分がそれをやっているという、そういう訳ではないけれど。

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