「書家による抽象表現展3」(ギャルリー志門)オープニングへ。
制作者の内面について他者が推測してもハデに外すということはありうる訳だが、個人的には制作の主体を自然のエネルギーに意識的に、いい意味で委譲している作家群という感覚を大いに受ける。
別の言い方をすれば、我々(日本人として自分も含めてそうだ)、自然の現象がアプリオリに持っている、流れや変化を作る力をレバレッジして結果として美を現しめようと志向し、そうして、現象と瞬時に対話しながら、実際にそうする、その心性が深くあることを再認識したのである。
墨を使っても絵具を使っても文字をモチーフにしても、これらの作品に共通する情緒というのは一種の、自然を尊重し尊敬した上での「流体技法」という趣きだ。現象も人間の側も共に動き流れていますからね。その状況のスナップショットという感じ。
と、いうのはあくまで「感想」である。こういう感想に理論武装せよ、と言われたら、学者さんになるしかないが、向いてないのでやめておく。自分がこうだと思ったり感じたりしたことに、歴史的文化的背景に関する証拠を集めたり、それに基づいて論理的に組み立てたりするのが申し訳ないがめんどうという、残念なタチなのである。
「書家による抽象表現展3」
ギャルリー志門(銀座)
5月18日まで