垂直偏愛症

特段でもないと思うが、姿勢がいいと言われることがあって、そう言ってくれる方のその後に続く言葉がかなりの確率で、「だから僕(私)もよくしなきゃって思った。」的な内容なのである。

かつその方たちは単に口で言うだけでなく、ちょっと背筋を伸ばす、というか腰をそらしたり、肩をきゅっと後ろに引いたりを実際になさる。それが姿勢をよくする行為なのかは専門家でない私ですらちょっと疑問だなあ、とは思うけれど、とにかく自分にとってこれがいい姿勢、というイメージを身体的に再現している感じ。

天井から糸で重りを吊っておくだけでからだの軸が立つ、と何かで読んだ。ミラー・ニューロンだか何だか知らないけど、無意識的にまねしたくなるのかしらん。

垂直性というのは自分がもっとも好きな動きの感覚のひとつだ。絵画のみならず、色々な視覚的刺激の中に、これが自然に現れていると集中力が出て、かつとても楽になる。樹木などを見るときは典型的。

垂直とは定規を使って線を引っ張ったようにまっすぐにタテ、ということではない。それを感じさせる質があるということで、垂直なものはそこにいて自らがおちついている、ということと共に、まわりに拡散している情報を束ね、すっきりした空間を作り出すのだ。空間のお清め係、みたいに。

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