具象であれ抽象であれ絵画は常に絵の外にも存在する何かの一部を描いている。なぜなら世界の全体は描けないから。このことは頭ではわかっているのだが画面に向かっているとしばしば忘れる。今目に見えているイメージと自分がやっていることと、次の打ち手などに感覚や意識が過集中になっていくためである。
しかしこれは別に絵に限ったことではない。人は自分の行為や感覚に対しかなりの時間過集中ではないか。
今見えていないものも含めて全体視することは一般的に言って人間の性というか習慣に反する。絵を描いている時はだから、この画面の外にある世界とも自分がつながっているように、これは何かの一部なのだとしばしば思い出す必要がある。そして芸術やスポーツなどは、最も純粋な形でこの全体視に関わっている。