墨の懐

黒というのは比較的注意して使った方がいいと、絵を描く少なからぬ人々は思っているだろう。黒は強い色で他を圧倒しやすいし、例えば影とか暗いとか言っても実際は別のものの色が反射していたりするのでいわゆる真っ黒というのは稀なのである。絵具の黒は何種類かはもちろんあるが、使う時そのまま使うのではなく例えばアイボリーブラックにウルトラマリンを混ぜるなどして色味を加える方が使いやすい。

ところで最近よく作画に墨を使うのだが墨の色というものは何と言うか最初からかなり混色されているようなニュアンスがありアクリル絵具の間に置いてもなかなか良いのである。チューブ絵具の黒のようなそっけない人工物感がなく何とも懐の深ーい感じ。アクリル絵具が耐水性なのに対し、墨はそのままだと水に溶けるというのや、マスキングテープではげやすいとか、自分の技法の関連では若干の扱いづらさはあるものの。

これ何かに似ているな~と思っていたら、そう漢方薬なのであった。キレよく扱いやすい西洋の絵具は西洋薬。

因みに自分は漢方を愛飲していて主には補中益気湯というのを飲んでいる、微妙に体調が悪くなるとこれを少し飲むと大抵改善。不思議なのは日本で承認されているものだけでも漢方は300種類近くあるのに、なぜか自分においてはほぼすべての不調に対しこれで用が足りてしまうこと。これもまた懐が深い。

 

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