がんばってほしい、というのは我が家のプリンターのことだ。
先日、画用紙に真綿の繊維を絵具で張りつけたものを絵具が乾く前に誤ってプリンターに流してしまった。
というと何のことなのかわからないだろうけど作品の制作上そういうめちゃくちゃなことをすることがままある。以前某大手家電メーカーに勤めていた身としてはあるまじき行為だ。今回も「誤って」とは言ったが絵具が乾いてすらいたらよかったのに、と人の神経回路とは違うことを考えている。真綿を貼ってるだけで異常なのに、せめて乾いてたら、ここまで調子悪くはならなかったはずなのに、と思っているのだ。
ということでプリンターはそれ以降、紙の送りがうまくいかなくなり、手で紙を押して吸い込ませねばならなかったり、途中で「ぐがががー」といって詰まったり、紙の端から長手方向に、5センチくらいの切れ目が入った形で出てくるようになった。ご機嫌が超悪い。
でもなぜか厚紙だったら流れるので、中のどこかに詰まっている綿の繊維が押し出されるかも、と思って何度か印刷してみる。その後普通の用紙でもやってみたら、異音を発しながらも一応印刷できた。しめしめと思って再び薄い紙でやると今度は中でぐちゃぐちゃになって取り出すのにピンセットを登場させる始末。気をとりなおして、改めて厚紙を数回流す。すると突然、紙が排出される口から直径5ミリくらいの白いワッシャーみたいな部品が転げ出てきた。
なんだか「これできっとオッケーだ」というポジティブな感覚が生まれ、薄い紙を流してみると案の定2枚連続で何の問題もなくうまく印刷できた。調子悪くなって以来初の快挙だ。
あの飛び出してきた部品、なんだったんだろう、このせちがらい資本主義の世の中、「なくても大丈夫」な部品をプリンターの中に仕込むとは・・・などと不思議に思いながら、そのうまくいった紙をバッグに入れ、(その資料を使う)ミーティングに出かける。
このままうまくいけばめでたしなのだが、外出して戻って来てまた印刷したら例の「ぐがががー」である。
このプリンターは治るのだろうか、治らないのだろうか(自分の場合、機械の修理はめんどくさいので極力出さないため、結構自然治癒あるいは民間療法・・・今自分がやってるようなこと・・・でなんとかしようと努めている。故に漢字は「直る」ではなく、「治る」)。
それが目下の自分の最大の関心事である。