昨日は、書家石川九楊氏の新作展「螺旋回(らせんせんかい)」(神保町 ギャラリー白い点)へ。
氏は高名な書家であるとともに、書史研究家・教育者であり、書に関する多数の著書もある。
書を拝見すると、視線の運動が右上から始まるものと、左上から始まるものがある。筆跡を文字として認識すると右上に、純粋な形として捉えると左上にまず眼がいく。ちなみに一般的に絵画を見る視線は、左上から右、左とジグザグに画面の下に向かって動いていくと言われる。
右上から見始めるのは、縦書きの漢字やかなであればあたりまえといえばあたりまえだが、たとえ字の「意味」を理解しなくとも、つまり読まなくともそうなので面白く感じる。
いかなる言葉も多かれ少なかれ私を興奮させる。多くの形象は沈静させる。書は言葉でありながら、感覚や思考の静けさの中で鑑賞することができる。