リペルアートのメリット

このブログで紹介しているリペルアート、美術制作の材料としては非常に秀逸なものだと思うが、自分のそう思う理由の一つが、これである。即ち、

「広い面を一挙に処理できる」こと。

・・・と、いうとあまりに素朴すぎてアレだが、これはこの液剤が、化学反応的なるもので自分自身で動いてくれるからでつまり勝手にイメージを生成してくれるから。ある意味、「絵を描く」という概念そのものを転覆させるところがある。

実は、普通の描画材だって、そういうことろがないでもないけど。例えばアクリル絵具をペインティングナイフにとってカンヴァスに施すとしても、それがある特殊な粘度その他の性質をもっているからこそナイフの下で「そういう形」を描きとまってくれる訳であって、完全に作者が自分の企図だけで絵具を操っている訳でなく、絵具さんの方も自分で自ら描いてくれていちゃったりするのである。

でもリペルの場合、より動的で目に見えるので、あーこちらの方々に描いてもらっている、という感が強まる。彼らの働きをもって広い面が視覚的に多様に仕上がっていくのをみると殆ど「ありがたい・・・」という気持ちにすらなる。この状況を自分の力を主に作りだすとすればいったいどれだけの時間を投下すべきであろうか。つまりこれもまた素朴かつ味気ない言い方になるが、リペルは「時短」になる。

さて、しかしながら時短だと言って喜んでばかりいる訳にもいかない。それで単純に喜んでたら働き方改革で残業時間を50%減らしましたが利益も70%減りました、みたいな状況になるかもしれないのだ。

表現としての価値を実現するために、リペルの動きの制御や、どこで止めるか問題が制作においては俄然浮上してくるのであって、これについてはまた追って書くことにします。

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