本日の寒月くん

大体において、自分がそこそこの事件だと思っても人はそうは思わない。

その類の事件が昨夜起きた。下の前歯の裏側が少し欠けてしまったのだ。

夏目漱石の「猫」の寒月くんは確か椎茸で歯を欠いたが、平成の世に生きている自分の場合は、その原因はカクテルの中に入っていたパッションフルーツの堅い種であった。スコッチバーでスコッチを飲まなかったバチに違いない。

表からは見えないが気になるので今日、近所の行ったことのない歯医者に走る(こういう時にわざわざ、「新しい歯医者を開拓してやろう」と試みるのは単なる好奇心)。レントゲンを撮ると言われたが断り(だって放射線がいやなんだもの)診てもらうと欠けているのはエナメル質の一部だけで、少し詰めれば直るがまた欠ける可能性もあると医者は言う。また、そこはそういうちょこっとしたことを単独ではやらないそうで、歯の健康状態を全体として底上げするという壮大な志の場所(100万位ヘーキでかかる)だったことがわかり、結局のところ前行った歯医者の方に行くことになった。

さて、こちらの歯医者さんはレントゲンを撮らない。また、欠けたところをちょっと丸めるだけでよいという。詰めても取れるかもしれないし、詰める時土台を少し削ることになるので自分の歯の厚みが少し減ってしまうとか。ミニマリストである私はこの方針がえらく気に入り、そのようにして頂いた。

しかし丸めたといっても多少は角があり、舌があたると気にならないでもない。

そこでふと思い出したのだが、健康や美容に良い、舌の先端の正しい位置というのは前歯のすぐ後ろの歯茎だ。舌が下がるとやな感じがするのだから、これは天然のアラーム機能が自分に仕込まれたようなものではないか。

トクした。

一方、金輪際パッションフルーツには近づかないぞ!と内心思っているのだから、一種の負け惜しみなのかもしれない。でも何か創っていて派手に失敗したときも、この負け惜しみ根性は経験的にはかな~り役に立つのだ。役に立ってるのを自覚している位結構頻繁に、負けている、ということだけど。

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