文化2連発

一昨日、群馬県立近代美術館「もうひとつの場所-野又 穫のランドスケープ」へ。見たこともないような建造物がまさに今見ているようにたち現われる。視線がそこに行きつくまでの間にある、色のついた光で満ちているような空間もすこぶる魅力的。

夜、銀座の王子ホールでコルシカからのア・フィレッタのライブ。7名の男性たちが、超複雑なポリフォニーの曲を、でもまったく技巧的な感じを押し出さずに、アカペラで歌う。ときに耳元に手をあてて自分の出している声を聴きながら、また他の歌い手の肩や背中に手を置いてまるで響きを共有するようにして。

良いもののすべては単純で単刀直入だという質があって、一方で、くみつくせないほどのディテールがわんわんうなっている。その単純さもディテールも、現物を見たり聴いたりしないと、複製物ではわからない、というか、なぜかそれらの最も重要なキモみたいなところが、複製物では見事なまでに失われている。だから、ほんとうの文化の鑑賞というものは、文化を実際に鑑賞するということは、手間も時間もかかるものなのだ。

群馬県立近代美術館「もうひとつの場所-野又 穫のランドスケープ

ア・フィレッタ

Blog「原初のキス」