笑わない女

先日、実家から送った古い本を整理していた際、その中に紛れ込んでいたすり切れた茶封筒を発見する。中を見てみると自分すらすっかり忘れていた、大学生の頃に今は廃刊になってしまった女性誌の読者モデル(読者ではなかったがたまたま編集者の方と知り合って依頼されたような記憶がかすかにある)をした際の、当該のページが入っていた。

その記事は数ページあるのだけど、内容は性格ブ○について、性格がブ○だと彼氏も結婚もできず付き合ってもすぐフラれるとかそういう内容で、読者に注意を喚起する読み物記事だった。タイトルページには数十年前の私の顔が全面に掲載されているが、その顔が全然笑ってない、というかフツーに「仏頂面」だ。愛想とか愛嬌とかいう言葉があるが、そういうものが微塵もない。

自分は火を見るより明らかに「性格ブ○」(の視覚的イメージ)としてこの記事にばっちりフィーチャーされており、そしてそれは、「この人性格ブ○」と思われてた可能性が結構高い。もちろん読モと記事の連関をどうつけるかは編集者ならざる自分が正確に知るところではないけれども、ウサギの飼い方の記事にサバンナを疾走するシマウマの写真を載っけるべくもなく、「なんかこの記事とはなじむな」と思われていたのに違いない。

私が驚いたのは、当時の自分がこの仏頂面と記事の連関について、全く気づいていたフシも記憶もない点である。「たまたまこの記事にタイミング的にひも付いて載っけられた」くらいの感じ。本当に性格ブ○であるかどうかはともかくとして、また実際たまたまだったかもしれないが、当時のこの「物事の関連を見る能力の低さ」に30年以上の時を経てあきれてしまった。

記事の中の自分の肌の色つやは確かに今よりいいかもだけど、あ~年をとって良かった、と思うのはこういう時である。

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