並外れて得意なことがいわゆる才能というものとすれば、自分は「心配」については天才的に才能がある。
以前窓際からカチカチという音がするので天井裏に巨大ネズミが詰まっていると言うイメージを抱いて怖かったことがあったし、風呂の中に落ちていた石鹸を新種の生物と認識したり、クローゼットの中で紙が倒れたらそこに潜んでいた中年のおっさんが転げたのだ、と一瞬で錯覚したこともある。自分の心配を100号の絵にして100連作にしたら、結構なインパクトがあるはずだ。でも、日頃無駄に心配に使っている時間が多く制作にはむしろ邪魔になっているというのが実情である。
こういう意味とはまたちょっと(ていうか全然)違うだろうけど、ゲルハルト・リヒターが、才能がありあまりすぎて成功しない人っていうのがいるんですよという主旨のことを言っていたのが印象深いところ。彼は、自分は必要な適度な程度にしか才能がないと思っているのかしらん。
自分の持ってるいらない才能を見極めて、なるべくそれにかかずらわないって大切なこと。