何もない

風姿花伝から能がマイブームなのだが(以前見たのはもう随分と昔だからまた見に行こうと思う)、能面はおもしろいものでなぜなら、演じ手が色々な表情を載せられる。泣いたり笑ったりというのは動作の型がきちっと決まっているようだがそれにしても同じ顔で泣けも笑えもするのはすごい。面自体が一種の無であるからそれが可能になる。絵画に引き寄せて言えば自分はそういう絵が描きたいと思っている。観者の受け止めが広いものである。そこで、能の演じ手の動作にあたるものが何か(絵自体は物理的には動かないので)、ということを最近考えている。

話が少しずれるけれど若い女の面は目の所の穴が四角く切ってあり、年を取った女は丸く切ってあるそうだ。観客からは見えるとも見えないとも言えない差かもしれないが、四角く切ってあると鋭さが周りに波及して若く張り詰めた、清冽な感じがするのでは、と想像する。

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