カンタン

何事も簡単と思えば簡単で、難しいと思った途端に難しくなるのだ、という仕事術の一文を読み自らを振り返っていたく感じ入った私は、「カンタン」と書いた紙を壁に貼っておこう、と(本気で)思った。

あからさまに視覚化しておくことは脳にそっちの方向への刺激を与えるのでよいことだ。しかしいざ実行に移そうとすると・・

「常に目につくのだからどうせならちゃんと作りたい」

「フォントはどんなのがいいだろうか、カジュアルにして気楽さを醸し出すか、きちっと美しいのにするか・・・」

「紙の色や厚みはどうしよう、でも紙は安っぽい、いっそのこと業者さんのとこに行ってレーザー刻印のボードを発注しようか・・(一万円位かかるかも。データもフォトショで作って持ち込まねば・・)」

とどんどん頭の中が複雑な方向に展開していってしまった。

「カンタン」にそこまで感服したなら、今すぐA4の裏紙に手近にあるサインペンで、「カンタン」と殴り書きして壁に斜めに貼るくらいの大胆な所業に出ればいいものを、そもそもそういうことが絶対にできないたちだからカンタンに惹かれたのだ。

我々が習慣にがんじがらめになっていることかくのごとし、と認識した今日のできごとであった。
(と結論づけ、結局まだ壁は白いままである。)

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