知人とギャラリーに行った際、展示が気に入らず不機嫌になった彼が、「真っ白けの場所に、ヘンなもの置きさえすれば現代アート」と言った。真っ白けとはいわゆるホワイトキューブと呼ばれる、壁面が白く簡素な、コンテンポラリーの典型的展示空間である。
展示が良かろうと悪かろうと、「ヘン」即ち常とはズレている、よって感覚に刺激がある、という状態は、芸術における十分条件ではないものの必要条件だろう。
ヘンに関し、それが如何に強力なものであるか、モナリザを例に妄想してみる。古風な服装をファストファッションで揃えた普通の服に変え、髪型も現代化してゆるふわセミロング前髪ありにしても、あの表情で道を歩いてるところに出くわしたら私ならすぐさま逃げる!