おぢさまの味

先日書いた宴会の余興の話で思い出したが、別の年には人形劇をしたこともある。

うちの部にいた、いつもはごくごく存在感を消し、堅実なビジネス人生を歩んできた定年間近いおぢさまが、「今回は私が企画します。」となぜか自ら宣言し、数日後持ってきたのが「人形劇の台本」だった。読んでみるとその筋はたしか、「ある病院の人気看護婦に患者の一人が懸想し、迫りに迫る。やっとその気になったと思ったら看護婦は実は男だった。」というものだった。おぢさまの監督の下、皆でまじめに人形を作り、練習して本番に臨んだ。このときもそれなりにはうけたっけ。

そのおぢさまは同じ部の男性が仕事をしていたら後ろからいきなり、「あの、××さん、スキ―靴って、かたい?」と質問して戸惑わせたりしていた(多分プラスティック工業会に出てたせいで興味があったのだ)。あと彼の書いた字を見るとひらがなや漢字が画数で言えば大体2割ほど省略されていて、読む方は頭を3割ほど余計に使わなければならなかった。

ある日おぢさまを含め数人で、部門のレクリエーションの景品を買いに行ったことがある。我々がかわいいものやおもしろい雑貨の類を物色していたら、「景品はもっと実用的なものが喜ばれるのでは。」ともっともなことを言うので何がいいですか、と問うてみると、彼の答えは、「テーブルタップとか・・。」であった。

今は泊りがけのレクリエーションや余興、独自モードでなんともいえずいい味出しているおぢさまなど少なくなってる気がする。人間関係全般の形態が変わってきたのかもしれない。それともどこかの業界、どこかの地域には、いまだ存在しているのであろうか。

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