完スピで寒風に顔をさらすの巻

用事のために家を出て寒風吹きすさぶ道を歩いていてふと、ただ寒いせいだけではない何となし心許ない感じがした。その理由はすぐにわかった。出がけにばたばたして、口紅の一つもつけずに飛び出て、完全なるスッピンの顔を世間にさらしていたのである。

自分は普段からどちらかと言えば化粧は薄く、なぜそのとき思い立ったかは忘れたが28歳の頃にいわゆるファンデーションというその名の通り基盤的なる化粧品からも足を洗った。よってスッピンとは言っても多少のポイントメークの有無に過ぎないが、それにしても何もなしというのは世間に対しちょっと配慮が足りない、という感じもした。

一瞬家に戻ろうかなと思った。しかし時間もないことだし忘れ物にかけては自分の知り合いにとんでもない猛者たちがいたのを都合よく思い出して、まいっか、とそのまま歩を進めることにしたのである。一人は高校生の頃、鞄(即ち中に入っている教科書や財布等の諸々を含む)を持たずに手ぶらで登校しその日は人に借りるなりしてなんとかしのいだ男子、もう一人は同じく高校に通っていた冬のある日、スカートを履くのを忘れて学校に行き、コートを脱ぐ直前で気づいて家に戻った、という女子である。財布もSUICAも持ってるしトップスもボトムスもきちんと身に付けている私なんてたいしたことない。

そうして歩く内、私はあることに気づいた。自分の顔つきが常とは違いしっかりしている(鏡で確認した訳ではないが内的感覚としてそれはわかる)。どうやら、口紅などのいささかの援軍もなき今、自分の本質が問われている、と内心はりきっているらしいのだ。

と、いう訳で、化粧を忘れて外に出ても何を失うでもなかった。これがやみつきになったらそれはそれで自分及び他人が困るかもしれない。

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