丁寧にやるとかがむしゃらにやるとかというよりアラートに(注意深く、目覚めて)やるという方が、制作においては100倍もワークする。
といっても、感覚というのは常に言葉なしで「答え」を提示してくる。つまり感覚は常に、自分こそ正しいと主張している。我々が感覚に対しアラートでいることは必須だけれども、同時に、信用しすぎないことも重要。
感覚は訓練されていないサラブレッドみたいなもので、その能力はとてつもなく大きいが、たいていの人間にとって、単なる暴れ馬にしかすぎない。
もし、美が今そこにあるなら、それに気づくことが必要だ。ないものを出現させようとするのでなく、より美しくしようとするのでもなく。美術の鍛錬というのは、気づく力、そして、美しいものの命を保ちながら、それを減衰させず増幅する動きについていく力の筋トレ。