昭和の家庭の、特に子供部屋には「モビール」という存在が窓際などにまま飾られていたものと勝手に想像している(うちはそうだった)。風鈴と並んで「自然」を堪能するこの装置は、今やまったく時代遅れのものとなってしまったのかもしれないが。
モビールは芸術表現としては米国の彫刻家のアレクサンダー・カルダーが1930年代に創ったのが始めらしい。いずれにせよモビールも風鈴も、これらにとってかわったのはDVDやネットではないかと自分は思う。風などの自然の動きを感じるより、人は人の創ったもので楽しむことを生活の中心とするように、少なくも多くの時間をそれに費やすように、なったのだ。
自分の部屋の窓のまん前に東京都の保存樹に指定されている桜の木の枝が張りだしている。幸運なことだけれど、別に改めてそれを見るまでもなく、今も木の葉が一瞬たりとも動いていないときは、ない。