メリル夫人の悩み

今年の冬はどういう訳か髪の毛の静電気がすごくて、日常生活にも支障をきたす。

家の中で静かにしている分にはともかく、外出しようとブラシでとかしダウンコートを着ると一挙に電気が増し、強烈に逆立って顔や首にむやみにくっつく。なでつけると摩擦でもっと帯電させてしまうので、始末におえない。

混んだ電車の中では隣に立っている見知らぬおじさんの顔や背広に束になってくっついていき、その人が電車を降りようとするときには毛も一緒についていく。手櫛を通すだけでぱちぱち音がする。

昔から静電気体質で、ホテルでバンケットのバイトをしていたとき、着物でお客様に料理の皿を渡そうとすると(冬のホテルで着物は最悪の静電気環境)、皿とお客様の指の間に目に見えるいなずまが走って皿を落としそうになったこともあったっけ。

高校生の頃、ベルギー象徴派の画家で神秘思想に傾倒していたジャン・デルヴィルの「スチュアート・メリル夫人の肖像」に似ていると、不本意ながら言われていた。米国の詩人の妻と言われるこの人の髪の毛も、静電気を帯びたように逆立っている。

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