池田満寿夫「私の調書 私の技法」

池田満寿夫「私の調書 私の技法」(美術出版社 1976)を読む。

池田満寿夫の70年代の版画がとても好きで、ある図録を風呂にまで持って入り、図録が湿気でふやけて真っ二つに割れてしまったほどなのだが、この本に版画は衰退し始めており、終わってしまうかもしれぬ、というのを示唆する内容が含まれている。版画は自分の好きなメディアだが、確かに、私の持っている加納光於氏の美術出版社からの70年代の豪華本など、今後このような本が出版される少なくとも今は「雰囲気」ではないように思う。

「版画」というのはこと日本においては何と関連する指標なのかな。個人的なひとつの仮説として、民度、というのがある。価格うんぬんはともかくとしても、版画は基本複数作品で購入者の数が必要ですからね(・・かなり荒っぽい仮説)。

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