路傍の人

まったくの季節はずれだが、思い出したので、書く。

数年前の夏の日、近所を歩いていると、日光ががんがんあたる路の脇にひとりのおじさんが倒れているのが遠くから見えて110番した。
お亡くなりになってたら、と思うとこわかったので側には寄らず、遠巻きにして暑い中なかなか来ないパトカーを待った。
暫くしてパトカーが来て、おまわりさんがおじさんに近づき何か話をしていたが、やがておじさんはだるそうに立って、どこかへ行ってしまった。
おまわりさんが教えてくれたことには、

「何してるの、熱射病になるよ」と話しかけたら、おじさんが「やになった」と言うので、「何が?」と聞いたら、「ぜんぶ」と答えたそうだ。

それを聞いて、不謹慎ながら少し笑ってしまった。おじさんはきっとすごく色んなことがやだったのだろうが、他人が110番してくれたり、警察がやってきたりするのだから、何も全部やじゃなくてもいいのに、と思って。

とはいえ、結局は本人の自由だけれど。

 

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