今思えば子供の頃、声に出してものを読むのが好きだった。小学校に入るか入らないかくらいのときに、自宅のガレージの奥に置いてあったブロックの上にこしかけ、ひとりで童話か何かを朗読していたら、犬が15匹位集まってきてじいっと聴いていたことがある。
という記憶が確かにあるのだが、いくら昭和とはいえ、即座に15匹もの野良犬が近所から集結しうるものか、少々疑問(ていうか、そもそも「朗読」を聴きにくるのかも)。でも、一番前にいた柴犬もどきの、真剣なおももちなど、未だにはっきりと目に浮かべることができるのである。