「明日からはもう、失敗しないようにしよう」、と先月まで平塚市美術館で展覧会が催されていた画家長谷川潾二郎が日記に残している。
彼の言うのはもちろん画家としての制作に関わることなんだけれど、まるですべての失敗が自分の意思で防止できるとでも言うような口ぶりに、これを見たとき少し笑った。
しかしほんとうにそうなのかも。何か創っていて、リカバリーが全然できない失敗をし、たとえささやかであっても全然成立するものにならないとき、観察してみると原因の大半は自分にある。正しく考えること、ちゃんと見ること、自分のことより制作物の都合や行くべき方向を優先すること、あきらめないこと、これらが自分の今の可能性の範囲でより良いものを創るとき必要なことだと思うのだが、要はそれをどこかではっきりと「気づきながら」、やらないのが問題なのである。