コラージュの素材を動かしているときなど、眼の焦点がぱしっとあう感じがするところがある。イメージの強度というよりこれは素材間の運動性や位置関係が「リアル」になったとき。別の言い方をすれば構図が決まったとき。構図ってなんなのか、アートと商業美術って一番違うのは構図だと思うけど。絵画と写真もそう。
美術家の北川健次氏に、構図の理解を深めたい、というようなことを言ったら、それよりも人間の視覚の原理をよく理解した方がいい、と言われた。平面上のイメージを目がどう追うかというのは、結構生理に基づいている。左上から右、左とジグザグに動いたり、もちろん目立つものに意識を焦点化するとか、そもそもその目立つモチーフは何によって目立たせられているのかということもある。
構図と言っても、平面美術において他から切り離されて独立に存在しうる要素の一つという訳でなく、絵画という「森羅万象」を含んだ現象の、ほんの一部を言い表したものにすぎない。