英語でケンカ、再び

またやってしまった英語のケンカ。外国人の知人と電車に乗っていて、話している内にさる状況におけるお互いの行動に関して見解の相違が生じ、「あれについては俺様は悪くない、お前が悪い」と先方が言うので、

「い~や、悪いのは俺様(私のこと・・)でなくお前!なぜなら・・」

と、押し問答になったのである。周りの空気が凍りつくのを感じたが、話が平行線をたどる内に電車は数駅を通過し、「あ、ここで降りるんぢゃない?」と私。「そうだ!じゃ、またね。」と互いにバイバ~イ、と手を振って別れた。

日本人同士だと、表現にやたら気を使いオブラートを五重にかけつつ申し述べた比較的軽微な相手に関する「批判的意見」ですら、かなり重篤な感情的わだかまりを残すことがあるので要注意だと思うんだけど・・・。(だから自分はそういうリスクを基本的には取らないという、その方面においては確信犯的にへなちょこな人間なのである。)

日本語はその性質として、婉曲表現が得意だ。一方自分の知る限りの英語は、むしろ誇張する表現が得意。

だから日本語においては、いくらでも婉曲に言えてしまうんであって、故に微妙にでも不快なことを言われた際に、これはきっと婉曲されてるに違いない、一体全体、婉曲されてない相手の思いの実体は、いかほどのものであらふか・・・と、どんどん妄想が膨らんでしまう。

だから自分のように穏健な人間は、よほどのことでないと、日本語でケンカなんかできないのである。(とはいえ穴にはまって、さすがに真剣に怒った、30年以上前の思い出。)

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