コラージュとは、古典絵画などの切り抜きを始めとする既存のイメージの組み合わせによって、新たなイメージを構成する技法である。
芸術表現としては1910年代にピカソやブラックが始めたとされ、ダダやシュルレアリスムの運動の中で発展した。
代表的作家にはドイツのマックス・エルンストなどがいる。彼が1920年代末に発表した「百頭女(ひゃくとうじょ)」は、今もコラージュ作品の金字塔として有名である。
歴史的な説明はともかくとして、コラージュにおける制作上の面白さは、「痕跡を残さずにモチーフを動かすことができる」という、平面芸術においては珍しい特質を持っていることだ。
つまり自分の身体の運動性そのものと、飽かず戯れることができる。
加えて、コラージュではイメージの構成要素である素材を自ら制作しないため、対象に迫る鍛錬されたデッサンや、マチエール(筆触)への意識にエネルギーを振り分けることなく、イメージの強さそのものに単刀直入に取り組むことができる。
他者の作った素材を通し運動性とイメージの強度を追求するというコラージュの制作過程から、コラージュが持つこととなる特異な情緒は、「他者性」の「侵入」である。
コラージュとは結局の処何かに何かを侵入させて、それが「ぐっとくれば」いいものだ。
その意味でコラージュは、いずれの作品も象徴的には一種の性的な表現と、言えるかもしれない。