わからないけどおもしろい「古代ギリシャ展」

上野の国立西洋美術館に「古代ギリシャ展」を見に行く。これ、古代ギリシャ展と銘打ちながら壺(アンフォラと呼ばれる)以外はローマ時代のコピーが大変多い。一緒に行った人が、「古代ギリシャ展ていうか、<古代ギリシャ風ローマ展>だよね、と言ったほど。とはいえ、有名な「円盤投げ」やスフィンクス像などを始め、すばらしくつかみのある作品の前ではしばしみとれる。

オリジナルが現存しない場合、それがコピー当時どの程度傷んでいたのか、提示されている情報の範囲ではわからない。コピーだけが完璧に残っているところをみると元のは相当傷んで欠損の度合いが激しかったのかもしれないけど、だとするとむしろコピーの方がオリジナルを超えていた可能性が、理屈で言えばまったくないとは言えないんだろう。円盤投げなど、感涙ものだった作品は特に。

よく考えると「そもそもローマ時代におけるギリシャのコピーの技法や意義」等々に関する情報があまり親切ではないため、結構な部分が五里霧中な展示だ(自分も明るくないが美術展に行く普通の人々は別に美術史にごく明るいということはあまりないはずだし)。それでも、以前大英博物館でぼん、ぼんとひたすら並んでた彫像とは違う感慨をそこかしこで実感できた、たいへんな好展示である。という訳で、まだ見に行っていない方には、強くお勧めする。

冒頭展示してある超ハンサムなディオニュソスなんか(これもコピー)、骨がくにゃくにゃしてそうなふっくらした指とか(右手など指の間から硬い杯の脚が突き出してるから更に柔弱に見えて素敵だ)、実はとても哀しいのにそれをこらえているような顔とかたいそうぐっときて、結局人がぐっとくる理由なんて、何千年も変わってないのね、という真実に気づく瞬間もある。

大英博物館 古代ギリシャ展 THE BODY 究極の身体、完全なる美 (上野 国立西洋美術館)

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