糸は水 ~ 手塚愛子個展@MA2 Gallery

はは~ん、糸は水なんだな、とギャラリーの3階への階段を登りきった所にある小品を見て自分は突然悟った。

手塚氏は織物の糸をほどいたりそれを更に編んだような作品(とは雑駁な説明である。後段のリンクを乞参照)を制作しておられるが、この作品は花柄の布が上の方にあってその下はそれをほどいたように見える糸が垂直に垂れていて~というか、糸の一部あるいは全体が多分パネルかカンヴァスであろう支持体に貼ってある・・ああ、説明が難しい!~ものであった。糸に青系が含まれていたこともあってその様子は自分的には「滝」を思い起こさせた。それで上述の認識に至ったのである。

だから何?ということは自分でもうまく言語化できるかきわどい。でも要は、糸は水のように、物理的にはいかような形もとりうる存在であり、それがよりあわさって固体である布になるし、あるいは、布が糸へとほどかれることもあろう、というのを改めて認識したということ。
即ち、布という存在に対する過去と未来をまさに流動的に示しうるのであって、実際、これらの作品は布ができた後からほどかれたのか、これから布へと編まれるのか、それがよくわからないところが自分的にはおもしろかった。
ここにある「作品という現在」は、主には過去の結果を表しているのか(布をほどきました)、これから向かう未来を示唆しているのか(続きをこれから編みます)、それが見ている自分には決定できない、ということが、時間的輻輳性を感じさせ、それが非常に幻惑的で興奮したのです。

でも織物のことわかってる人ならそれは明確にこっち!とか言えるのかなあ・・。まあ自分のリテラシーのなさも時に鑑賞に役立つこともある。因みにここにおける「鑑賞」とは、自分が楽しめる、ということである。

手塚愛子個展
Flowery Obscurity 華の闇
MA2 Gallery(恵比寿)にて
9月28日まで

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